2人目がほしいけど、義兄が筋強直性ジストロフィーを発症しました。発症前遺伝子検査や遺伝カウンセリング、治療・リハビリについてレポートします。

筋強直性ジストロフィーの家族計画・介護計画

Pixabay

広告

本・TVの感想

『難病と在宅ケア12月号』筋強直性ジストロフィーの特集でした

投稿日:2017年2月19日 更新日:

この雑誌は12月には入手して読んでいました。まだまだ、筋強直性ジストロフィーの知識が浅かった私でもわかりやすく、また必要なことが十分網羅されていて、とても勉強になりました。年末年始には自分の分はコピーをとり、本はお義母さんのもとへ置いてきました。今更ですがご紹介したいと思います。特集の記事ごとに、簡単にまとめてみました。詳しく知りたい方がいらっしゃいましたらぜひ購入してみてください!

 

筋強直性ジストロフィーとはどんな病気か

  • 筋強直性ジストロフィーの有病率は人口1万人に1人程度と筋ジストロフィーの中では最も多い疾患でありながら、デュシェンヌ型と比べ一般の関心は低く、知名度が低い。また同じ筋ジストロフィーとはいえ、デュシェンヌ型とは症状がまったく異なる。
  • 遺伝子の設計図からタンパク質を作るとき、まずDNAからコピーがとられる。CTGが伸長した遺伝子でコピーが作られると、伸張部位が折れ返してくっついたヘアピン構造を持つ異常コピーになる。この伸張部位は、遺伝子の中の設計図を記録していない部分にあるので、タンパク質そのものには変化はおきない。が、コピーから設計図部分だけを抽出した「mRNA」を作る作業を調整する物質(MBNL、CUG-BP等)が、ヘアピン構造に多数結合してしまい、ほかの遺伝子が使う分のMBNLが欠乏したり、CUG-BPのリン酸化が増強されたリン酸化CUG-BPが増える、といったことが起きる。これにより多数の遺伝子のmRNA生成に異常を生じる。このため、たった一つの遺伝子の変異であっても多数の遺伝子に影響し、多様な臓器障害を引き起こす。
  • 筋強直性ジストロフィーでは肺活量が正常であっても血液中の酸素濃度が低い(特に睡眠中)ことが多くみられる。低酸素は全身の負担となり、呼吸の余力がないため、軽度の感染症でも急激に呼吸状態が悪化して生命に危険が及ぶこともある。
  • 全身の状態、機能を定期的に評価、検査して、異常を早期に発見することが大切。

 

筋強直性ジストロフィー呼吸障害の特徴と対策

  • 筋ジストロフィーの呼吸障害は通常は肺活量が非常によい指標になる。しかし筋強直性ジストロフィーでは肺活量が保たれている時点から低酸素が見られることも多い。理由は、呼吸筋力低下だけでなく、中枢性の呼吸障害の影響も多いこと、嚥下障害による影響で痰が多いこと、肥満が多いこと、それに伴い睡眠時無呼吸症候群も多いことがある。しかし呼吸苦を感じる患者は少ない。
  • 年1回を目安に入院して、夜間の呼吸状態の検査、心臓の検査(24時間心電図など)を勧める。リハビリを合わせて2週間ほどの入院をすることも多い。
  • 診療ガイドラインのあるデュシェンヌ型筋ジストロフィーと違って、筋強直性ジストロフィーの治療には標準化されたものがない。またほかの筋ジストロフィーはデュシェンヌ型の治療を応用できることも多いが、筋強直性ジストロフィーでは多臓器障害があるため簡単にはできない。

 

筋強直性ジストロフィー心筋障害の特徴と対策

  • 24時間心電図(ホルター心電図)を装着した不整脈の検査を年に1回は受ける。家庭でも自動血圧計を使用して脈拍を確認した方が良い。
  • 不整脈を疑う症状が出た場合心電図検査は必須。どのような不整脈であるか(徐脈性不整脈、心房細動、心房粗動など)が診断されれば治療方針が決まる。

筋強直性ジストロフィーの食と代謝に関わる問題

  • CTGリピート数が低栄養の指標である血清アルブミンや、肥満度を示す体格指数(BMI)との間に相関関係があることを認めた。CTGリピート数の増加に伴い様々な合併症が影響し十分な栄養が摂れなくなり、血清アルブミンとBMIが低下する可能性が考えられる。
  • 便秘も多い。筋強直性ジストロフィーの約20%で浣腸や下剤などを使った排便コントロールがみられた報告がある。まずは正しい食習慣や水分接種、腹部マッサージが有効。これらを併用しつつ薬物療法を適応する。
  • 嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査、咬み合わせの力や舌の圧力の測定などを定期的に行い、最も多い死亡原因の一つである誤嚥性肺炎を防ぐよう、接触嚥下機能を評価すべき。
  • 筋強直性ジストロフィーでは、糖尿病・耐糖能異常の治療法は確立していない。通常の2型糖尿病に準じて治療することが多い。インスリン感受性低下による高インスリン血症が認められるため、インスリンを介さない血糖コントロール治療薬の使用が効果的とも考えられる。

 

筋強直性ジストロフィー中枢神経障害の特徴と対策

  • 先天性では知的障害を伴う他、発症年齢が低いほどIQの低下がみられるという報告がある。成人発症の場合はIQは幅広い結果が得られているが、言語性では数唱、単語、算数が、動作性では積み木模様、組み合わせの得点が低い。日常生活の中で他者との交流を交えながら、基本的な生活習慣や社会性の獲得をさせるとよい。また他者から褒められたり、喜ばれたりすると自己満足度があがり前向きになる。得意分野からリハビリを始め楽しさや満足感を得られるように作業療法などを組み込むとよい。
  • 人格の特性として、回避性、統合失調的、心気的、自尊心に乏しい、モチベーション低く鬱的、等と報告されてきた。筋強直性ジストロフィーの精神症状をきたすリスクは疾患の重症度、心理的苦痛、低い自尊心、希死念慮、神経症傾向、協調性の悪さに関連があった。また成人発症型ではより妄想的で神経症的、恐怖症的不安が強かった。
  • 筋強直性ジストロフィー患者と接するとコミュニケーションがうまくいかないと感じることが稀ではない。個人識別、表情認知、情動認知、視線処理、心の理論などに関わる認知機能などの社会的認知機能がバランスよく統合され他者との関係を築くが、筋強直性ジストロフィー患者の表情認知の中で怒り、嫌悪、恐怖に対する感度が低下している。CTGリピート数に相関していたことから病的な脳機能障害に基づく症状の可能性が示唆されている。
  • まずは各患者の高次機能や精神機能の臨床的評価をきちんと行うことが必要。

 

筋強直性ジストロフィー治療薬開発の現状と患者登録

  • 現在研究されている治療薬の標的は病気のメカニズムの各段階に対応したものである。一つ目は、二次的に影響を受けた個々のスプライシング(設計図の部分だけが抽出された「mRNA」を作る作業)を正常化させようという試み。二つ目は、スプライシングを調節しているタンパクがRNA凝集体(ヘアピン部)に結合してしまうのを防ぐという試み。三つめは、繰り返し配列が異常に伸びたRNAを分解してしまい核にたまるのを防ごうという試み。これがIONIS社の治験につながっている。
  • 2016年9月現在、筋強直性ジストロフィーについて世界が治験が行われている薬は「IONIS-DMPKRx」と「Tideglusib」の2種類。「IONIS-DMPKRx」は米国で80人の成人患者で行われており、2017年に何らかの結果が発表されるのではと期待されている。「Tideglusib」は先天型筋強直性ジストロフィーの16名に対し英国で治験を行う予定。すでに認知症の薬として治験データがあることから第1相を飛ばして第2相の治験から開始される。
  • 治療薬が治験の段階にまで至っているが、希少疾患では、患者の積極的な参加が薬剤開発に重要。

 

まとめ

難しい言葉も時々出てきますが、全体を読めば症状が発現する仕組みが少しずつ解明されているのが良くわかります。以前ご紹介した患者と家族のガイドブックとは違い、翻訳された文章ではありませんので、自然と理解できます。また、いろいろな先生が同じことを違う言い方で説明しているので、それも理解を深める一助となっている気がします。新しい情報や付加的な情報も多く、病気を理解するのにほどよい専門書の一つとなりました。今後も新しい書籍については、できるかぎり入手してインプットしていきたいと思います。

ブログ村・ランキング

広告

-本・TVの感想

Copyright© 筋強直性ジストロフィーの家族計画・介護計画 , 2020 AllRights Reserved.